柳野国際特許事務所

意匠について

特許について
部分意匠について

1.「部分意匠制度」について

  「部分意匠制度」導入の趣旨

 従来、意匠法第2条の「物品」とは、独立した製品として流通するものと解されていたことから、独立した製品として取引の対象とされず、流通をしない物品の部分に係る意匠は、意匠法の保護対象とはされていませんでした。
 そのため、一つの意匠に独創的で特徴ある創作部分が複数箇所含まれている場合、物品全体としての意匠権しか取得できないため、それらの一部分が模倣されていても、意匠全体としての模倣が回避されていれば当該意匠の意匠権の効力は及ばない状況にありました。
 そこで、これらの点を踏まえ、平成10年に意匠法を改正して、意匠法第2条の意匠を構成する「物品」の定義に「物品の部分」が含まれることを明らかにし、物品の部分に係る形状等について独創性が高く特徴ある創作をした場合は、当該創作を部分意匠として保護することとしました。(特許庁ページ「部分意匠導入の趣旨」より)
 例えば、下図のように、ペンのグリップ部分に特徴がある場合、全体意匠では非類似となり、侵害を差し止めることはできませんが、クリップ部分の部分意匠を利用することで、侵害を差し止めることができます。


  




2.「部分意匠」のメリット

「権利範囲」

 部分意匠は、適切に利用すれば、ほとんどの場合において権利範囲が広くなり、商品のポイントとなる特徴部分を保護して、模倣品の発生を効果的に防止することに役立ちます。



・独創的な特徴がある部分を取り入れつつ意匠全体として侵害を回避する巧妙な模倣を防止することができます。

・新商品の核となる部分のデザインを保護することで、そのデザインを有する商品の独占的な市場を確保し、
 将来の商品展開における優位性を保つことができます。





3.部分意匠の権利範囲についての判例

「化粧用パフ事件」大阪地裁平16(ワ)6262平成17年12月15日判決(→控訴棄却)


両意匠が類似するとして、原告の差止請求等が認められました。
特に判示されていませんが、全体意匠では両意匠は類似しないと思われます。






4.部分意匠制度の利用例


コンデンサー ノートパソコン 冷蔵庫
単なる丸型の空気孔についての
部分意匠です。
ディスプレイ横の通信部についての
部分意匠です。
操作パネル付き取っ手についての
部分意匠です。



・単純な形状の部分についても部分意匠として登録される場合があります。

・基本的に部分を限定する(小さくする)方が他社の模倣を防止できます。


登録例






5.最近の部分意匠制度の利用件数

  2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

登録件数
32,681 32,633 29,689 28,289 29,382 28,812 27,438 26,274 28,349 28,288 27,305
部分意匠
登録件数
6,664 7,086 6,729 6,828 7,434 7,821 7,892 7,928 8,273 8,983 9,150
比率 20.3% 21.7% 22.7% 24.1% 25.3% 27.1% 28.8% 30.2% 29.2% 31.8% 33.5%
(全登録件数=全ての意匠登録件数、部分意匠登録件数=部分意匠に係る意匠登録件数、
比率=部分意匠登録件数/全意匠登録件数×100)



最近では、部分意匠の判例も多く出てきており、その効力の及ぶ範囲も定まりつつあります。





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関連意匠について

1.「関連意匠制度」について

  「関連意匠制度」とは

・「一つのデザイン・コンセプト」から創作された多数のバリエーションの意匠について、同等の価値を有するものとして
 保護する制度であり、関連意匠として登録された意匠も、各々について独自に権利を行使することが出来ます。




関連意匠にも独自の権利範囲が認められており、本意匠に類似せず関連意匠にのみ類似する意匠(第三者実施意匠A)にも、権利行使できます。





2.「関連意匠」の出願可能期間



通常の意匠登録出願の後であっても、意匠掲載公報が発行されるまでの期間であれば、関連意匠出願が可能です。






3.関連意匠制度の利用例





実施品を本意匠若しくは関連意匠とするケース以外に、実施品を本意匠とし、これに類似する非実施品を模倣防止のために関連意匠として出願するケースもあります。

また、本意匠に類似せず、他の関連意匠にのみ類似する関連意匠出願は権利化出来ません。




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