2023年 Vol.9
◆Apple Watchの輸入禁止に対してアップルが控訴
米アップルは、米国際貿易委員会(ITC)が決定したハイエンド版の「Apple Watch」に対する輸入禁止命令に関し、この決定を不服として米連邦巡回控訴裁判所に控訴した。
ITCは、一部のApple Watchが米医療技術メーカーMasimoの特許を侵害していると判断し、「Apple Watch Series 9」と「Apple Watch Ultra 2」の輸入(販売)禁止措置を発効するとしていた。
アップルは控訴裁に対し、特許を侵害しないよう製品を再設計し、それで特許侵害を回避できるかどうか税関が判断するまで禁止措置を保留するよう求めているという。
この輸入禁止については、バイデン大統領が拒否権を発動すれば、ITCの決定が覆る可能性があったが、米通商代表部(USTR)は、「ITCの決定を覆さないことを決定し、ITCの決定が2023年12月26日に最終決定した」と発表した。
◆ 「AIは発明者になれない」 イギリス最高裁
イギリスの最高裁は、AI(=人工知能)について、新技術を開発したとしても「発明者」にはなれず、特許権を得ることはできないとの判断を示した。訴えを起こしていたのは、アメリカのコンピューター科学者、スティーブン・テイラー博士。テイラー氏は自らが作ったAIが考案したとする「食品容器」と「点滅信号」について、AIを“発明者”として特許出願をしたが、これに対して、知財当局は「機械は発明者になれない」として認めていなかった。今回、最高裁も知財当局と同じ判断を下したことになる。
◆ 鳥取の生姜「白兎生姜」をブランド化目指し商標登録
鳥取県東部、因幡地方で栽培されている生姜について、他の産地との差別化を図ろうと、ブランド化を目指し、「白兎生姜」として商標を出願し、登録された。「白兎生姜」は、県東部「因幡地方」の寒暖差が大きい土地で栽培され、雑味がなくさわやかな風味が特徴だという。
2023年 Vol.8
◆大阪税関での偽ブランド品等の輸入差止め件数が過去最多に
大阪税関は、令和5年上半期(1〜6月)に輸入を差し止めた、商標権を侵害する偽ブランド品などの件数が過去最多の5464件となったことを発表した。
昨年10月に改正関税法などが施行され、販売目的の輸入だけでなく、個人で使用する場合でも差し止め対象となったことが要因とみられる。
また、大阪税関によると、約9割が中国からの輸入品であり、品目別ではバッグ類(1842件)が最多で、これに続き、衣類、携帯電話等、靴類となっており、輸入形態別では、郵便が8割近くを占めているという。
◆ 特許庁 AI関連発明の特許審査体制を強化
特許庁は、人工知能(AI)関連発明の特許審査体制を強化すると発表した。専門的な知見を持つAI担当官を現在の13人から約3倍の38人に増員し、文書や画像を自動作成する生成AIの出現に加え、AIを活用した発明が画像診断や製薬など幅広い技術分野に急速に広がっていることに対応する。
◆ 「ドンペリゴールド」のラベルを貼って販売し逮捕
高級シャンパン「ドン・ペリニヨン」の中でも高級な「ドンペリゴールド」のラベルを、比較的安価な「ドンペリ」に貼って売却したとして、大阪府の無職の男が商標法を違反した疑いで逮捕された。
警察によると、この男は、一昨年の9月、当時の市場価格約2万円の「ドンペリ白」のボトル2本に、「ドンペリゴールド」のラベルを貼り換えたうえで、これらを大阪市のリサイクルショップに2本8万円で売却したという。
2023年 Vol.7
◆「G-SHOCK」の初代モデル 立体商標として登録
カシオ計算機は、腕時計「G-SHOCK」の初代モデルの形状が、特許庁により立体商標として登録されたと発表した。ロゴや文字のない腕時計の形状そのものが立体商標として登録されている。
当初、特許庁では、商標に必要な識別力を備えていないと判断されたが、これに対して、カシオ計算機は、当該形状が、40年にわたり販売され、販売実績が長期にわたって安定していること、メディアの広告や紹介記事で継続して掲載・放映され、形状にも言及され評価されていること、アンケート調査にておいて立体商標に出願する画像を見せると過半数〜6割がカシオ、Gショックなどと回答したことなどを理由として反論し、この反論が認められ、商標になり得る特徴が広く認識されている、として商標登録された。
◆ 小野薬品工業が特許訴訟で和解 和解金は約200億円
小野薬品工業は、免疫の抑制を防ぐ抗体に関する特許についての訴訟で、英アストラゼネカ、英メディミューン等と全面的に和解したことを発表した。特許権を持つ小野薬品と米ブリストルマイヤーズスクイブ(BMS)が和解金を受け取る。小野薬品が受け取る総額は約1億4000万ドル(約200億円)になるという。
この抗体を巡っては、小野薬品が2022年2月、アストラゼネカの日本法人が販売するがん治療薬「イミフィンジ」が特許を侵害しているとして東京地裁に提訴し、その後、BMSも海外で訴訟を起こしていた。
◆ 「鬼滅の刃」を類推させる商品を販売で懲役2年・罰金300万円など
人気漫画「鬼滅の刃」を類推させる商品を販売したなどとして不正競争防止法違反に問われた雑貨輸入販売会社「レッドスパイス」(横浜市)と同社社長の控訴審判決が、名古屋高裁であり、杉山裁判長は、この社長に懲役2年・執行猶予5年・罰金300万円、また、レッドスパイスに罰金500万円とした1審・名古屋地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。