柳野隆生 > ノスクマードベンチャー塾 > 塾活動記録 2011年 第3回(4月)のテーマ
未来をよむ 〜未来予測に基づく経営戦略〜
未来をよむ 〜未来予測に基づく経営戦略〜
今回の地震と津波による災害は日本経済に多大なダメージを与え、世界の経済や金融市場にまで影響を及ぼしている。企業を取り巻く環境が厳しさを増す中、経営者や各企業のトップ層はそのリーダーシップ力が問われている。彼らの多くは、将来の市場や社会環境に順応するビジネスモデルをいかに展開し、成長を遂げていくべきか頭を悩ませていることだろう。そのためには未来のビジョンを着実に描き、それを元に事業や技術開発などといった企業戦略をうち立てていくことが重要である。
長期的視野に立って過去から現在、未来の社会を展望し、それに基づいた事業戦略を構築・実行していく経営姿勢は、日本企業には比較的なじみがあり、経営理念として古くから受け継がれている企業もある。今回、輪読会で用いたオムロン鰍フ「SINIC(シニック)理論」は、このような経営姿勢を示す一つの例である。この理論が果たして明日の社会に通じるかどうかは別として、自らそのような理論をつくり、未来をつくろうとする姿勢は企業運営においてきわめて重要である。
また、SINIC理論が「科学と技術と社会の間には円環論的な関係があり、その相互関係を体系づけている」という考え方を基本としている点において、ノスクマードでは、ある種近い見解を持っている。
ノスクマードでは、社会のパラダイム・シフトを感知し、来たるべき社会のニーズや課題を見極め、時代の変化に伴った新たな価値を創造するベンチャーでありつづけるために、リーダーの要件として以下の4つの点が重要と考える。
- 明日に向かっての「智」をもつ。
既成の知や創造の知を含む、工夫された自分自身の「智/知」をもつ。
- 明日の方向を示す。
未来のビジョンを示すためには、過去から現在を深く分析、解析する力が必要である。過去と現在の問題点・課題をしっかりと把握し、その延長上の未来を見据えて方向性を決める。
- 結果を出す。
常に変化を見通し、着実に結果を出すことが重要である。そのためには、単なるチャレンジ精神だけではなく何事にも細心の注意が必要となる。 - 戦う能力をもつ。 国際社会で競争力をもつ企業でありつづけるには、グローバル競争を勝ち抜く「戦う力」をもたなければならない。そのための武器となり得るひとつ として、「パテント」がある。知的財産は、「財産」であると同時に「武器」でもある。この「武器パテント」の位置づけは次のように理解される。
- 敵対相手への法的攻撃手段
- 技術独占をするための手段
- 市場独占手段
- 販売促進手段
使用参考文献
「未来から選ばれる企業」立石義雄(PHP)
「超パテント戦略」柳野隆生(東洋経済新報社)
各種新聞記事等
次回の柳野塾の活動記録は6月頃アップ予定です。