柳野国際特許事務所

事務所について




Q1.外国に出願すべき場合に注意すべきことは?(特許出願の場合)


A.「日本出願から1年以内に出願する」ということを覚えておいて下さい。
 まず、日本に出願してから1年以内(パリ条約の優先期間内)に出願すべき点に、最低限、注意すべきです。日本出願から1年を経過してパリ条約による優先権主張ができない場合は、出願公開前で、しかも現実に当該発明内容を公にしていない状態であれば外国に出願して権利取得できる可能性があります。出願公開もされてしまった場合は、米国には日本における出願公開後1年以内に出願した場合において、米国出願時に日本出願が特許査定されていない場合には、権利を取得できる可能性があります(米国特許法102条(b)(d))。


Q2.外国へ出願する必要がありますか?


A.特許権はそれを取得した国でしか効力がありません(各国特許独立の原則)。
 特許権等の効力は権利を取得した国の中でしか及びません(属地主義)。したがいまして、特許に係る製品が外国で製造・販売等される場合は外国出願を検討する必要があります。 ただし、かなりの費用がかかりますので、費用vs.効果の観点からの検討も必要です。出願国の選定は、製造国あるいは消費国という二つの観点がありますが、まず製造国での権利取得を第一にして、時間的・予算的な余裕があれば消費国での権利取得も目指すべきです。


Q3.日本の権利に基づいて海外の類似品に対して権利行使をすることができますか?


A.日本に輸入されるものに対しては権利行使ができます。
 属地主義(Q2-2参照)のため、日本の権利の効力は海外には及びません。ただし、類似品が日本に輸入された場合は、「類似」の程度にもよりますが、原則として日本国内での実施に該当するため、日本の権利の効力が及びます。


Q4.外国出願したいがどのような方法がありますか?


A.幾つかの方法があり、それぞれの特徴に応じた活用が必要です。
(1)直接外国へ出願
(2)日本国出願を基礎としてパリ条約の優先権を利用して外国出願
(3)日本国出願を基礎として特許協力条約(PCT)に基づく国際出願
(4)日本国も指定国に含めて最初からPCTに基づく国際出願

があります。

 「PCT国際出願の概要」⇒特許庁HPへジャンプします


Q5.パリ条約の優先権と国内優先権との違いは?


A.制度目的が異なりますので、要件や効果も違っています。
 制度の目的が異なります。パリ条約による優先権制度は外国出願に伴う時間的・予算的猶予を付与するためのものですが、国内優先権制度は改良発明等の一括審査のための制度です。そのために要件・効果も以下のとおり異なっています。
(1)パリ条約による優先権主張の場合は優先権主張出願時に基礎出願が有効に存続している必要はありませんが、国内優先の場合は優先権主張出願時に基礎出願(先の出願)が有効に存続していることが必要です。
(2)パリ条約による優先権主張の対象は特許・実用新案・意匠・商標ですが、国内優先の対象は特許・実用新案だけです。
(3)パリ条約による優先権主張の場合は優先権主張出願をしても基礎出願に何らの影響もありませんが、国内優先の場合は基礎出願は原則として出願から1年3月で取り下げになります。

また、パリ条約による優先権は、パリ条約の同盟国民(例えば米国人)が同盟第1国(例えば米国)にした正規かつ最先の出願に基づいて、同盟第2国(例えば日本)に所定期間内にパリ条約による優先権を主張した場合、同盟第1国の出願内容に含まれる同盟第2国出願のクレームは、同盟第1国の出願日を基準にして審査をしてもらえるという利益が与えられるものです。これに対して、国内優先権は日本国内の先の出願に基づいて国内優先権主張出願を行った場合に、先の出願内容に含まれる国内優先権主張出願のクレームは、先の出願日を基準にして審査をしてもらえるという利益が与えられるものです。国内優先権の主張により、内外人の実質的な不平等が解消される、PCT出願の自己指定が可能になる、特に補正の制限が厳しい現行法下で包括的で漏れのない権利化の取得が可能になる、等のメリットが得られます。


Q6.直接日本語で出願できる国は?


A.幾つかの国があります。
 米国、台湾、タイ、ドイツなどです。但し、一定期間内に現地語への翻訳文を提出する必要があります。


Q7.海外にも実用新案制度はありますか?


A.幾つかの国があります。
 ある国もあります。但し、名称は様々(小特許、短期特許、装置特許など)です。


Q8.審査請求は全ての国で必要ですか?


A.ほとんどの国で必要です。
 ほとんどの国で必要ですが、不要な国(米国、イタリアなど)もあります。


Q9.海外特許の特許要件は日本の特許要件と同じですか?


A.大体同じですが、若干の相違はあります。
 大体同じですが若干異なる国もあります。 例えば米国の特許要件には日本の特許法第2条における「自然法則を利用した」という要件がなく、これがビジネスモデル特許の成立を促進する一つの理由だと指摘する意見もあります。


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