柳野国際特許事務所

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容易想到性判断の誤りについての判断事案
「再帰反射製品」
知財高裁平成20年3月12日判決
(平成19年(行ケ)第10095号審決取消請求事件)



1.事実の概要
2.相違点1の容易想到性判断について
3.相違点2の容易想到性判断について
4.考察


本願発明 本願発明図
引用発明

引用発明図



1.事実の概要

 原告は、「再帰反射製品,その製造方法,及びそれを含む衣服製品」の発明について平成7年3月28日国際出願し(PCT/US95/03746,特願平7−529630号)、拒絶査定を受けたので、拒絶査定不服審判を請求した(不服2005−2087号)。
 しかし、特許庁の審決では,本願発明は引用発明(実開昭50−154747号)に基づき当業者が容易に想到することができたものであるから特許を受けることができないと判断した(拒絶審決)。
 そこで、原告(特許出願人)が被告(特許庁長官)に対し、当該審決の取消しを求める訴訟を提起したのが本件裁判である。

 本裁判では、審決が、下記相違点1,相違点2についての容易想到性の判断をそれぞれ誤った結果,本願発明が引用発明に基づいて当業者が容易に想到できたものであるとの誤った結論に至ったとして、原告が求める審決の取消を認めたものである。
以下、この相違点1,相違点2についての容易想到性判断について、それぞれ原告・被告の主張/反論、および裁判所の判断を紹介する。


 ◆ 本願発明


「第1及び第2主要表面を有する着色バインダー層(42);及び前記着色バインダー層の第1主要表面に部分的に埋め込まれた部分を有し,且つ,そこから部分的に突き出た部分を有するガラス又はセラミック微小球(36)の層;を含む微小球(36)が露出している再帰反射製品であって,前記バインダー層(42)及び前記微小球(36)の層が,昼間の照明条件下で見た場合に実質的に異なる再帰反射度を示し,且つ,顕著に異なる色を呈する第1及び第2セグメント(32),(34)に分けられており,前記第1セグメント(32)が微小球(36)の層の埋め込まれた部分に配置された反射性金属層(38)を有し,そして前記第2セグメント(34)が微小球(36)の層の埋め込まれた部分の後方に機能的に配置された反射性金属層を有しないことを特徴とする,微小球が露出している再帰反射製品。」


 ◆ 引用発明


「上表面,下表面を有する接着剤層(5);及び前記接着剤層(5)の上表面に部分的に埋入された部分を有し,且つ,そこから部分的に突き出た部分を有するガラスビーズ(6)の単一層;を含むガラスビーズ(6)が露出している再帰反射シート(1)であって,前記接着剤層(5)及び前記ガラスビーズ(6)の層が,ガラスビーズ(6)の下にA1層からなる光反射層(3)が存在する部分と,光反射層(3)の存在しない光透過部分(4)に分けられている,ガラスビーズ(6)が露出している再帰反射シート(1)」


 ◆ 相違点1


 本願発明は,バインダー層が着色バインダーであるのに対し,引用発明では,そのような限定がない点。


 ◆ 相違点2


 本願発明は,バインダー層及び微小球の層が,昼間の照明条件下で見た場合に実質的に異なる再帰反射度を示し,且つ,顕著に異なる色を呈するのに対し,引用発明では,そのような限定がない点。


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2.相違点1の容易想到性判断について

 ◆ 原告の主張


『 本願発明は非常に目立つ着色セグメントにより縁取りされた再帰反射像を表示する「再帰反射製品」であり,観察者がその表示を認識できる着色セグメントを有しているに対して,引用発明は電飾サイン等の表示又は装飾装置に適用するのに最適な「再帰反射シート」であり,前方からの照明光を全面一様に再帰反射し,後方の光源からの光を全面一様に透過して再帰反射シートの前方にある表示板の表示を可能にするために光を提供するものであり,本願発明と引用発明の対象は全く異なる。』
『 引用例2・・・が開示する光反射体は「夜間の交通事故防止を図るために警察官や道路工事者あるいは一般歩行者の衣類用布地として,あるいは交通標識,さらには宣伝用の各種部材やアクセサリー類等」に利用されるものであり(2頁上左欄2行〜6行),周知例・・・が開示する再帰反射性アップリケは「道路等での…作業者の安全を改善するために,逆反射性マーキングを衣類に付している」ものである(段落【0002】)。したがって,引用例2及び周知例の再帰反射製品は本願発明の「再帰反射製品」とは共通性があるが,引用発明の「再帰反射シート」とは再帰反射の現象を利用している以外に共通性はなく,発明の対象が全く異なる。』
『 引用発明の「再帰反射シート」は電飾サイン装置内の再帰反射シート後方にある光源から光を透過させ,前方に配置された「例えば『SONY』の文字を切抜いてなる光透過部分(11)を有する黒色の塩化ビニル製不透明フィルム(12)」を利用して「SONY」の文字の表示を行うものである。このような引用発明において光透過部分(4)の光透過性は必要不可欠の本質的要素であり,引用例1(甲1)にも引用発明における接着剤層(5)の光透過部分(4)の光透過率T0はほぼ1(100%)の値であると記載されている(6頁14行〜15行)。このような値は接着剤層(5)ができるだけ完全に光透過性であり光を吸収・反射しないことによるものであり,この接着剤層(5)は着色剤(光を吸収することで発色する物質)を含まない無色透明のものであることは明らかである。このような引用発明の再帰反射シートの機能及び用途からすれば,引用発明における接着剤層(5)は無色で高い光透過性を有することを必要とするものであり,これを着色する動機は存在しないし,これを着色することは引用発明の特性を損ない,その目的に反することであるから,引用発明にとって阻害要因である。』
『 周知例(甲3)の再帰性反射アップリケにおいて結合剤層に添加される染料はアップリケの洗濯による再帰性反射素子の品質低下及び変色をカムフラージュ又は迷彩する添加剤として用いられるものであり,実質的に開示されているものは黒色のクロームアゾ染料である・・・これに対し電飾サイン装置に用いる引用発明の再帰反射シートではカムフラージュ又は迷彩する必要はないし,かえってこれを行えば光透過部分(4)を光不透過性にすることになり,引用発明の再帰反射シートの本質を否定することになる。したがって,当業者が引用発明の光透過部分(4)に周知例のカムフラージュ又は迷彩剤である染料を使用することを試みるとは考えられないから,引用発明と周知例を組み合せる動機は存在しないし,その組合せには阻害要因がある。』


 ◆ 被告の反論


『 着色したい部分に着色するということは何ら例示する必要もないほど社会で普通に行われていることである。着色の目的も識別性を高めるとか美的効果を高める等種々あるが,いずれも技術的に議論するまでもなく当然のことである。審決が引用例2及び周知例を例示したのは本願発明の着色部分がバインダーであったためであるが,上述のようにどこを着色するかということも含め,着色することに格別の技術的意義があるということは到底できない。』
『 また再帰反射製品において再帰反射部分と再帰反射機能を有さない部分とを顕著に区別できるようにすることは,・・・何ら格別の技術事項ではない。したがって,引用発明の識別性,視認性を高めるために引用発明の接着剤層を着色することは何ら格別のことではなく,原告の上記主張は失当である。』


 ◆ 裁判所の判断


『 引用発明は再帰反射シート,中でも交通標識や電飾サイン装置等の表示又は装飾装置に用いる再帰反射シートに関するものであるが,引用発明の構成は,従来技術においては光反射層が全面に設けられているため前方側から光を照射したときにのみ効果があり,光反射層の後方側から光を照射した場合には前方からこの光を観察し得ないという課題を踏まえ,これを解決するための技術的特徴を備えるものであって,具体的には,光反射層の前方からの再帰反射光及び後方からの透過光をいずれも観察できるように,光反射層(例えばアルミニウム層)に所定パターン(例えば市松模様)の光透過部分を形成する点に技術的特徴を有するものである。したがって,このような引用発明の意義ないし技術的特徴に鑑みれば,引用発明における光透過部分は光を透過し得るものであることを必須の構成とするものである。』
『 引用発明は,光透過部分の光透過率は光透過部分の幅及び光反射層の幅を適当に選択することでコントロールすることができるものとされ・・・,また引用発明の再帰反射シートの前後に透明着色フィルムを配列することで・・・光透過率が低減するような構成を付加する場合が予定されているが,上記のような引用発明の意義に照らせば,上記光透過部分の幅の調整や付加的構成を前提としても光透過部分の光透過率がなくなることは想定されていないというべきである。』
『 これに対し本願発明は,・・・典型的には高速道路の建設及び補修作業者並びに消防士により着用される衣服において使用される再帰反射製品であり,従前,蛍光の地色部分と再帰反射機能を有する部分とを個別に作製して縞形態に貼り合わせることによって着用者の存在を目立たせていた従来技術に対し,再帰反射縞(第1セグメント)と着色セグメント(第2セグメント)とを2種の異なるセグメントを含む単一の構築物として形成することによって,第1セグメントの再帰反射領域が離層ないし基材から分離しないとか,より少ない層で済むため衣服の総重量を減らしその柔軟性を高めるとか,第2セグメントは,第1セグメントと同程度に再帰反射性ではないものの,上記従来製品の非再帰反射性の蛍光色部分よりも高い再帰反射性を有するなどといった効用を図ったものである。このような本願発明の意義ないし技術的特徴に鑑みれば,相違点1に係る本願発明における着色バインダー層の構成は,蛍光色を典型とする目立つ色で着色されることを予定しており,しかも第2セグメント部分において従来技術のものよりも高い再帰反射性を有することが期待されていることからすれば,少なくとも着色バインダー層が透明ないし光透過性のものであることは予定されていないと認められる。そうすると,引用発明の光透過部分を本願発明の着色バインダー層のように蛍光色を典型とする目立つ色で着色し,光透過性でないものにすることは,引用発明の必須の構成である光透過部分の光透過性を喪失させることにほかならないから,相違点1の構成を引用発明から容易想到ということはできない。』

『 確かに,引用例2(甲2)には・・・織布や合成樹脂シート等の基材を着色剤で着色することが,また周知例(甲3)には・・・逆反射性アップリケの結合剤層に染料を混合することなどが記載されているが,これらの着色対象はいずれも引用発明のように光を透過し得るものであることを必須の構成とするものではないから,引用発明に適用できるものではない。したがって,被告の上記主張は採用することができない。』


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3.相違点2の容易想到性判断について

 ◆ 原告の主張


『 引用発明における再帰反射シート(1)の光不透過部分(3)及び光透過部分(4)においては,前方からの照明は一様な再帰反射光として,後方からの照明光は一様な透過光として観察されるにすぎず,これを昼間の照明条件下で普通に観察する者はそれらが顕著に異なる色を呈することを認識できるものではない。このことは引用発明の再帰反射シートの接着剤層(5)に引用例2又は周知例の記載に基づいて着色剤を添加して着色したとしても同様であり,引用発明の再帰反射シートを普通に観察する者にとっては再帰反射シートの光不透過部分(3)と光透過部分(4)のパターンは微細すぎて識別できず,両者からの再帰反射光は一体になり,区別されることなく,全体で1つの再帰反射光として感受されるにすぎない。したがって,引用発明の「再帰反射シート」の接着剤層(5)に引用例2又は周知例の記載に基づいて着色剤を添加して着色したとしても,得られる再帰反射シートは少なくとも「昼間の照明条件下で見た場合に実質的に異なる再帰反射度を示し,且つ,顕著に異なる色を呈する第1及び第2セグメント」を有していない点で,本願発明の「再帰反射製品」とは本質的に異なるものである。』 『 引用発明の再帰反射シートは・・・光反射層が存在しない光透過部分(4)のみならず光反射層(3)が存在する光不透過部分においてもガラスビーズ(6)との間には着色した接着剤層(5)が存在することになる。そうすると,光透過部分(4)と光不透過部分(3)における再帰反射光は同様に着色され,本願発明のような顕著に異なる色を呈することができない。しかも,引用発明の再帰反射シートは平面鏡に近いものにすぎず,再帰反射度が極めて低いものである。本願発明の再帰反射製品では引用発明とは異なり後方の光源は考えられないことから,高い再帰反射度が重要となり,実際にも本願発明の再帰反射製品は高い再帰反射度を示すのであるが,引用発明はこの点で本願発明の重要な作用効果を奏さないものである。』


 ◆ 被告の反論


『 仮に引用発明の光反射層(3)の配置を引用例1(甲1)の第3図に示されるようにガラスビーズ(6)と点接触する平板状のものと解した場合でも,再帰反射光が接着剤層(5)中を通過する距離は非常に小さいもので,着色は極めて薄くなると考えられる。したがって,光反射層(3)のある部分と光反射層(3)がない光透過部分(4)とでは明度が異なり,異なった色として認識されることは明らかである。さらに,本願発明が微小球の再帰反射性を利用した再帰反射製品において微小球に接してアルミニウム等の反射性金属を蒸着等により設けるものであるとしても,・・・そのような構成はごく普通に行われていた技術手段である。』 『 原告は,引用発明に引用例2又は周知例を組み合わせて得られる再帰反射シートは「第1セグメントが微小球の層の埋め込まれた部分に配置された反射性金属層を有」していないので高い再帰反射度を示す本願発明の再帰反射製品とは異なるものであるとも主張するが,引用発明も接着剤層(5)に部分的に埋め込まれたガラスビーズ(6)の下にアルミニウム層からなる光反射層(3)を有するものであるから,本願発明と同様の構成であり,効果についても本願発明と同様であるから,原告の主張は失当である。』 『 バインダー層を着色することは周知であり,何ら格別のことではなく,引用例2及び周知例にバインダー層を着色することが記載されていることは明白な事実である。さらに,引用例2(甲2)にはこれまでも述べた周知技術である真空蒸着により透明小球4に反射性の高い物質を鍍金して鍍金層8を形成したものが記載され,その場合には,反射材7は必要に応じて入れればよいと記載されており・・・必ず反射材を入れるという原告の主張は当たっていない。また,周知例において微小球24が真空蒸着等による反射物26を有していても結合剤層16を着色しているのであるから,引用発明の接着剤層(5)を着色することに何らの阻害要因もない。』


 ◆ 裁判所の判断


『 本願発明における「バインダー層及び微小球の層が,昼間の照明条件下で見た場合に実質的に異なる再帰反射度を示し,且つ,顕著に異なる色を呈する」とは,再帰反射製品としての条件を示すものであるから,このような構成を満たすというためには,再帰反射製品の通常の使用状態の下において当該製品が実質的に異なる再帰反射度を示し,かつ,顕著に異なる色を呈するものでなければならない。具体的には,「実質的に異なる再帰反射度」とは,・・・すべての照明条件が基本的に等しい場合に,第1及び第2セグメントが著しく異なる量の光を再帰反射することであり,第2セグメントが反射性金属層よりも良好に機能する反射体を微小球の後方に有しない限り,第1セグメントが実質的により優れた再帰反射能を有すること,すなわち,第1セグメントが実質的に入射光をより多量に再帰反射することを意味するものである。』
『 引用発明の再帰反射シートは,光反射層(3)においては強い再帰反射を得ることができるのに対し,光透過部分(4)では実質的に再帰反射を観察することができないか,これがあるとしてもごくわずかというものであり,かつ,両者の色は,光反射層(3)は光反射層の色(銀色)ないし光線の色であり,光透過部分は透明というものであるが,これら光反射層ないし光透過部分の形状は極めて微細で,しかも一様な分布を有するものであるから,これを観察する者が通常の照明下において光反射層と光透過部分の再帰反射度ないし色を異なるものとして認識することは不可能といわざるを得ない。』
『 このような引用発明に被告が挙げる引用例2(甲2),周知例(甲3)を適用することを考慮したとしても,・・・引用発明における接着剤層に相当する部分を着色することを内容とするものにすぎず,上記のような光反射層と光透過部分の形状を変更するものではない。・・・そうすると,これらにより引用発明における光反射層と光透過部分の再帰反射度ないし色を区別して認識することが可能となるものではないから,相違点2の構成が引用発明から容易想到ということはできない。』


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4.考察

 相違点1について、原告は、まず引用発明の再帰反射シートが、その機能及び用途からすれば接着剤層が無色で高い光透過性を有することを必要としており,これを着色する動機がなく、また着色すると特性を損ない目的に反するため、阻害要因でもあると主張している。また、他の周知例との組み合せについても、『引用発明の再帰反射シートではカムフラージュ又は迷彩する必要はないし,かえってこれを行えば光透過部分(4)を光不透過性にすることになり,引用発明の再帰反射シートの本質を否定することになる。したがって,・・・引用発明と周知例を組み合せる動機は存在しないし,その組合せには阻害要因がある。』と主張し、動機付けがない点、および組み合せの阻害要因がある点について、適切に指摘している。これに対し、被告は、『着色することに格別の技術的意義があるということは到底できない』と反論するにとどまり、特に阻害要因について、これが無いことを主張・立証できていない。  そして、裁判所は、@ 引用発明では、光透過部分が光を透過し得るものであることが必須であるA 本願発明では、着色バインダー層が蛍光色を典型とする目立つ色で着色されることを予定し,第2セグメント部分に従来技術より高い再帰反射性が期待されるため、着色バインダー層が透明ないし光透過性のものは予定されないB 引用発明の光透過部分を、本願発明の着色バインダー層のように蛍光色を典型とする目立つ色で着色して光透過性でないものにすることは,引用発明の必須の構成である光透過部分の光透過性を喪失させるC 引用例2や周知例の着色対象は、光を透過し得るものであることを必須の構成とするものではなく,引用発明に適用できるものではないと認定して、原告が主張した「動機付けがない点」や「阻害要因」を認め、当該相違点1についての審決の容易想到性の判断が誤りであったと判断している。ここで特に、「着色バインダー」を「蛍光色を典型とする目立つ色で着色されること」として実質的に判断していることは重要である。  

 裁判所の判断が示しているように、動機付けや阻害要因を主張する場合にも、単に本願発明の相違点や引用発明の内容について、形式的に記載を挙げて主張するだけではなく、各発明の意義ないし技術的特徴を明細書全体から詳細に把握・分析し、動機付けのない点や阻害要因について説得力のある主張をすることが必要であることが分かる。同様のことは他社の特許を潰す無効審判請求の場合にも云え、引用発明の組み合せ等に阻害要因が生じないよう十分注意し、この阻害要因を無くすための証拠固め(文献調査)も重要な作業となる。

 なお本事案では、裁判所は相違点1に関する取消事由を認めつつ、更に念の為として相違点2についても判断している。これは、相違点1、2が何れもバインダー層の着色に関する相違であり、容易想到性を判断する際に関連性の強い内容(着色バインダーの意義に関する相違点)であるとの判断と思われる。この相違点2についても、裁判所は、@ 引用発明の再帰反射シートは光反射層(3)が光反射層の色(銀色)ないし光線の色であり,光透過部分は透明というものであり、観察者が通常の照明下において光反射層と光透過部分の再帰反射度ないし色を異なるものとして認識することは不可能であるA 引用例2、周知例も接着剤層に相当する部分を着色するものにすぎず、光反射層と光透過部分の形状を変更するものではないと認定し、当該相違点2についての審決の判断も誤りであると判断している。

(文責 森岡)

(2008/07/01)


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