
2023年 Vol.2
◆エルメスがNFT創始者に商標権侵害等に基づく訴訟で勝訴
エルメス・インターナショナルがNFT(非代替性トークン)の創始者であるメイソン・ロスチャイルド氏を商標権侵害等に基づき訴えていた件で、陪審員がエルメス側を支持する判決を下した。9人の陪審員は、メイソン氏が商標権侵害、ブランド希釈、サイバースクワッティングの責任を負うと判断し、損害賠償については、エルメスは商標権侵害とブランドの希釈化に対して11万ドル(約1,500万円)、サイバースクワッティングに対して2万3,000ドル(約300万円)の賠償を受けることになるという。
◆ 味の素が韓国の食品メーカーにドイツの特許権侵害訴訟で勝訴
味の素が韓国の食品メーカー等(CJグループ)にうま味調味料「味の素」の製法に関する特許を侵害されたことを理由に訴えたドイツでの裁判で、CJグループが味の素に和解金を支払うことで合意したという。和解金の総額は非公表だが、総額40億円程度とみられる。
味の素は、CJグループを相手取り、「味の素」の主成分であるグルタミン酸ナトリウムと飼料用アミノ酸のトリプトファンの製法を巡る複数の特許侵害訴訟を日本、米国、ドイツ裁判所に起こした。うち日米での訴訟3件は、昨年までに合意金の支払いで全て決着していたため、今回のドイツでの和解で両社による特許紛争は一段落する見通し。
◆ アディダスの類似品販売で逮捕
滋賀県警木之本署は、商標法違反の疑いで住居不定の会社役員の男を逮捕した。この男は、2021年7月9日ごろ、SNSを通じて他の男性に対し、「アディダス」に類似する商標を付けた半袖シャツとズボン計9着を販売し、商標権を侵害した疑い。男は、「偽物の認識はなかった」と容疑を否認しているという。
2023年 Vol.1
◆ルブタン 「赤い靴底」による出所混同は認められず
CHRISTIAN LOUBOUTIN SAS(以下、ルブタン)らが、シューズブランドの「エイゾー」などを運営するエイゾーコレクションと、赤い靴底を巡って争っていた件で、知財高裁はルブタン側の請求を全て棄却した。ルブタン側は、エイゾーコレクションが「ルブタン」の定番といえる赤い靴底のパンプスに類似した商品を製造販売したと主張し、同社に対して損害賠償4200万円などを求めて提訴し、一審でルブタン側の主張が認められなかったため、これを不服として控訴していたが、今回、知財高裁でも訴えが認められず、請求が棄却された。
裁判所は、両者の価格帯は大きく異なること、小売店などでは「ブランド名が明確に表示されているといえる」こと、商品自体にブランドロゴが付されている点などから、エイゾーコレクションの商品は、「『ルブタン』ブランドの商品であると誤認混同する恐れがあると言えないことは明らか」と判断した。
◆ 偽物のシャネルのマスクを陳列した男を商標法違反で逮捕
静岡県の雑貨店で偽物のシャネルのマスク3枚を販売目的で所持していたとして、47歳の経営者の男が逮捕された。調べに対し、「シャネルのロゴのついた商品を陳列することで客の目を引けるため」などと容疑を認めているという。店からは他にも偽ブランドのネックレスなどが押収されていて、警察はこの男が偽ブランド品の販売を繰り返していたとみて調べている。
◆ 4本線のストライプなどに対するアディダスの訴えは認められず
アディダスが、トム・ブラウンに対して、トム・ブラウンの商品に付された、4本線のストライプ柄やトリコロールカラーのグログランリボンが、アディダスの商標権を侵害しているなどとして、約800万ドル(約10億円)の損害賠償を求めて争っていた件について、裁判員はトム・ブラウンの商標権侵害を否定した。
トム・ブラウンは、創業時からストライプをデザインに取り入れていたところ、2007年にアディダスから一部のデザインで採用した3本線のストライプ柄について警告を受けたため、衝突を避けるために4本線のデザインに変更したという。また、同社は、「そこから10年以上両社は共存しており、アディダスは損害を被った証拠を提示していない。」と主張した。
これに対してアディダスは、1950年代から3本線のストライプを使用しており、Tシャツやスニーカーなど、アディダスが得意とするスポーツ関連製品にトム・ブラウンがストライプを使用すると混乱を招く可能性があり、ストライプの本数の違いについては、遠くから見たときに本数を間違える消費者は多く存在すると主張し、また、アディダスが長年スポンサーを務めていたFCバルセロナなどとトム・ブラウンが提携してスポーツウエアビジネスを拡大しようとした動きを悪意の証拠として提示していた。
