柳野国際特許事務所

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Q1.判定制度とは?

A.特許発明の技術的範囲について、特許庁の審判官合議体が鑑定的な意見を示す制度のこと(特許法第71条)です。発明は抽象的な技術的思想であり、特許発明の技術的範囲については関係者間で争いが生じやすいため、特許庁の審判官合議体が客観的な意見を表明する本制度が採用されました。

(1)係争対象物が特許発明の技術的範囲に属するとの結論を求める積極的判定
(2)係争対象物が特許発明の技術的範囲に属しないとの結論を求める消極的判定

の2種類があります。手続としては、所定事項を記載した判定請求書を特許庁長官に提出する必要があります。なお、判定は行政処分ではなく鑑定的なものであるため、判定の結論には法的拘束力はありません。したがって、判定自体に対しては不服の申立をすることはできません。ただし、判定請求書の却下に対しては不服の申立をすることができます(判定請求書の審判官合議体による決定却下の場合は、行政不服審査法に基づく特許庁長官への審査請求。)。 また、他法の関連制度として、実用新案法第26条準用特許法第71条、意匠法第25条、商標法第28条があります。




Q2.裁定制度とは?

A.特許権者の意志にかかわらず特許庁長官又は経済産業大臣の裁定により強制的に第三者に通常実施権を設定する制度のこと(特許法第83条、第92条、第93条)です。 裁定には、

(1)不実施の場合の裁定(同第83条)
(2)自己の特許発明を実施するための裁定(同第92条)
(3)公共の利益のための裁定(同第93条)

の3種類があります。 私的自治の尊重のため、まず当事者間で協議を行い、協議が不成立又は不可の場合に裁定を請求することができます。 手続としては、所定事項を記載した裁定請求書を特許庁長官又は経済産業大臣に提出します。裁定や裁定の取消に不服がある場合は、行政不服審査法による異議申立をし、その処分に不服がある場合は、行政事件訴訟法により訴えを提起することができます。ただし、裁定で定める対価の額についての不服については、直接普通裁判籍の地方裁判所に訴えを提起して、その額の増減を求めることができます。 また、他法の関連制度として、実用新案法第21条〜23条、意匠法第33条があります。





Q3.法改正により「特許異議申立て制度」が創設されるとのことですが、その内容をお教えください。

A.平成15年法改正(平成16年1月1日施行)により廃止された「特許異議申立て制度」が、新たに創設されます。

(1)特許掲載公報の発行の日から6月以内に限り、誰でも特許異議の申立てをすることができます。
(2)全件書面審理となります。
(3)審判長が取り消し決定をしようとするときは、特許権者及び参加人に対して意見書の提出と、特許請求の範囲等の訂正の請求をする機会が与えられます。
(4)特許権者から訂正の請求があったときには、特許異議申立人は意見書を提出する機会が与えられます。
(5)「特許無効審判制度」は、利害関係人のみ請求可能となります。
(6)2015年4月1日から施行されます。