商標出願・登録の対象とは?【初心者向け】~どんなものが登録できるの?~
あなたの会社名や商品名、サービス名は、ビジネスにおいて大切な“顔”です。しかし、その名前やロゴを守るためには、「商標登録」という手続が必要になります。とはいえ、「どんなものが商標登録できるの?」「自社のロゴは登録の対象になる?」と疑問に思う方も多いでしょう。
実は、商標登録の対象にはルールがあり、登録できるもの・できないものが決まっています。
この記事では、商標登録できる商標の種類、登録の必要性までを初心者向けにわかりやすく解説します。これから商標出願を考えている方や、自社のブランドを守りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.「商標登録」できるものとは?
商標を登録するには、2つの要件を満たす必要があります。
(1)出所表示機能があること(商標法第3条第1項)
商標は、「この商品(サービス)は誰が提供しているか」を識別できる目印である必要があります。
例えば、チョコレートに「チョコ」、ラーメン店に「ラーメン」といった表示は、商品・サービスの内容を示すにとどまり、出所(提供者)を区別できないため、商標としては認められません。
つまり、他社と区別できる独自の名称・標章であることが条件です。
(2)他人の商標と紛らわしくないこと(商標法第4条第1項)
既に登録されている商標や、周知・著名な商標と同一または類似の場合は登録できません。権利やブランド価値保護の観点から排除されます。
2.商標の種類と登録例
商標には、文字・図形・記号・立体形状・動き・色彩・音など多様なタイプがあります。
① 文字商標
- ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、数字など
| 商標 | ウガイシュ |
|---|---|
| 登録番号/登録日 | 登録第6316100号/2020年11月12日 |
| 権利者 | 株式会社ノスクマードインスティチュート |
② 図形・記号商標
- 図形や記号のみで構成
| 商標 | (図形) |
|---|---|
| 登録番号/登録日 | 登録第4525651号/2001年11月30日 |
| 権利者 | 株式会社ノスクマードインスティチュート |

③ 立体商標
- 立体的な形状(人物・動物・容器形状など)
| 商標 | (立体) |
|---|---|
| 登録番号/登録日 | 登録第5923208号/2017年2月17日 |
| 権利者 | 明治ホールディングス株式会社 |

④ 文字+図形・記号の組合せ商標
- 文字と図形・記号の組合せ
| 登録番号/登録日 | 登録第5195791号/2009年1月9日 |
| 権利者 | 森永乳業株式会社 |

⑤ 動き商標
- 文字や図形が時間経過で変化する態様
| 商標 | (動き) |
|---|---|
| 登録番号/登録日 | 登録第5860816号/2016年6月24日 |
| 権利者 | 永谷園ホールディングス株式会社 |

⑥ ホログラム商標
- ホログラフィー等により視点で変化する態様
| 商標 | (ホログラム) |
|---|---|
| 登録番号/登録日 | 登録第5908592号/2016年12月22日 |
| 権利者 | 株式会社ジェーシービー |

⑦ 色彩のみの商標
- 単色または複数色の組合せのみ
| 商標 | (色彩のみ) |
|---|---|
| 登録番号/登録日 | 登録第5933289号/2017年3月17日 |
| 権利者 | 株式会社セブン-イレブン・ジャパン |

⑧ 音商標
- メロディ、音声、自然音など
| 商標 | (音) |
|---|---|
| 区分/商品・サービス | 第30類:菓子,パン,サンドイッチ ほか |
| 権利者 | 日清食品ホールディングス株式会社 |

⑨ 位置商標
- 図形等を特定の位置に付す態様
| 商標 | (位置) |
|---|---|
| 登録番号/登録日 | 登録第5953565号/2017年6月9日 |
| 権利者 | 株式会社エドウイン |

※表中の「商標」欄は本紙面では省略表示です。実際の出願では図形・態様を所定方式で提出します。
3.商標出願・登録が必要な理由
1)未登録のまま使用すると継続使用が困難になるおそれ
先に第三者に出願・登録されると、自社が先に使っていても継続使用を制限される可能性があります。
2)損害賠償などのトラブル回避
「当社の商標だ」と主張され、使用差止・損害賠償・ライセンス料を求められるケースも。パッケージやWebの全面改修など大きなコストが発生し得ます。
3)早めの出願が有効
“使いながら守る”ではなく“使う前に守る”が基本。ブランドを長期に育てるためにも早期の権利化が安心です。
4.まとめ
商標出願では、どの形態(文字・図形・動き等)で、どの区分(類)で出願するかが重要です。
判断を誤ると、登録不認可や将来のブランド展開への制約につながります。商標は事業の“看板”。迷う場合は弁理士に相談し、事業計画も踏まえた最適な出願戦略を設計しましょう。