商標出願の流れをわかりやすく解説!【初心者向け】~出願から登録までの10ステップ~
「商標を登録したいけど、手続きってどうしたらいいの?」「登録できるまでどのくらい時間がかかるの?」そんな疑問をお持ちの方に向けて、この記事では商標出願から登録・維持の流れを10のステップでわかりやすく解説します。専門用語はなるべく使わず、実務経験にもとづいたポイントも交えて紹介します。
目次
1.使用・登録したい商標を決める
まずは、商品やサービスに使いたい名前やロゴを決めましょう。
このとき大切なのは、今後の事業展開を見据えて考えること。
商標は、会社や商品を象徴する“顔”であり、お客様があなたの事業や商品・サービスを思い出すブランドのしるしとなるものです。
一度決めると長く使うものだからこそ、将来の拡張性や独自性を意識して慎重に検討することが大切です。
ネーミングを決める段階から“ブランド戦略”が始まっています。また、次のステップで説明しますが、商標には登録できるもの・できないもののルールがあり、見た目はユニークでも実は登録できないケースもあります。
ネーミングの段階から弁理士に相談しておくと、後から「せっかく考えたのに登録できなかった…」というトラブルを防ぐことができます。
2.商標をどの商品やサービス(役務)に使うのかを特定しよう
商標出願では、その商標をどの商品やサービスに使うのかを具体的に特定し、特許庁に申請します。
これを指定商品・役務の選定といいます。
重要なのは、「今の商品・サービス」を特定することと「今後の事業展開を見据えて考えること」です。
たとえば、現在はお菓子の販売のみでも、将来的にジュースやカフェ事業を予定しているなら、これらでも商標登録することを検討します。
なぜなら、いざカフェ事業を始めるときに、お菓子で出願した商標がカフェでは登録できない事態が起こり得るためです。
商標の権利はこの指定した範囲にのみ及ぶため、誤ると実際に使いたい商品・サービスを保護できません。
例:「SWEET」という商標を「お菓子」に使うのか、「カフェのサービス」に使うのかで、権利の及ぶ範囲は全く異なります。
商標法上、商品やサービスは全45区分(類)に分類されています。
同じ名前でも区分が異なれば別の商標として扱われるため、適切な区分選定が極めて重要です。
例:「Tシャツ」(第25類)と「Tシャツの小売」(第35類)は別区分。
こうした区分判断や指定商品・役務の書き方には専門的なルールがあるため、弁理士に相談して最適な範囲を決めることを強くおすすめします。
登録費用は区分ごとに異なるため、費用を抑えつつ事業をカバーできるよう調整可能です。
3.商標出願前の準備~先行調査~
出願前にまず確認すべきは、その名称やロゴが商標登録できるかです。
(例:お菓子に「チョコレート」は登録不可。)
登録可能性があっても、既に似た名称・ロゴが他社に登録されていないかを確認します。
この確認作業を商標調査と呼びます。
商標調査により、出願が無駄にならないか、将来トラブル(使用中止の要請や警告など)を避けられるかを事前に判断できます。
「登録できるか」「似ている商標がないか」の確認は、商標出願の第一歩であり最重要工程の一つです。
※実際の調査方法や注意点は別記事で解説しています。
[事前にすること~商標調査~]
4.出願はどうやってするの?
商標出願は、特許庁に出願書類を提出します。主な記載事項は次のとおりです。
- 登録したい商標(文字・ロゴなど)
※商標は登録した形で保護されます。実際に使う形で登録しましょう。 - 出願人(会社・個人)の情報
※出願人は単独でも共同でも可。 - 商標を使用する商品・サービスの内容
※現在だけでなく今後を見据えて選定。
手続や書類作成には一定の知識が必要なため、実務上は弁理士等の専門家に依頼するとスムーズで確実です。
5.特許庁による審査とは?
出願後、特許庁で審査が行われます。
- 方式審査:書類の体裁や手数料の確認
- 実体審査:登録要件を満たすかの実質判断
審査期間は通常6〜10か月。権利化までの総期間は約1年が目安です。
早期審査の対象(例:既に使用中/使用準備が整っている等)なら、2〜3か月で結果が出る場合もあります。
早期審査は要件・書類がやや複雑なため、専門家へ相談すると確実です。
6.審査結果が届く
特許庁からの結果は主に2種類です。
- 登録査定:登録を認める通知
- 拒絶理由通知:登録できない理由の通知(対応可)
7.拒絶理由通知が来たときの対応
拒絶理由を法的・技術的に解消する対応を行います。
提出書類の例:
- 意見書:拒絶理由への反論
- 手続補正書:指定商品・サービスなどの補正
※商標自体の変更や指定の追加は不可。対応の巧拙が登録可否を左右するため、専門家の助言が重要です。
8.登録査定が来たら登録料の支払いを忘れずに
登録料を納付しないと権利は発生しません。
期限は査定日から30日以内。失念すると出願却下となります。弁理士に依頼すれば支払漏れリスクを低減できます。
9.商標登録証が届く
登録料納付後、「商標登録証」が発行されます。
登録時点の情報が記載され、商標権者であることの公式な証明書です。
10.商標公報の発行
登録後、特許庁から商標公報が発行され、誰でも閲覧可能になります(登録日からおよそ10日前後)。
公報掲載日から2か月間は、第三者が登録に対し異議申立てを行えます。
この期間を過ぎると、商標登録は確定します。
11.保護期間と更新
商標権の有効期間は登録日から10年間。
満了日の6か月前から更新でき、さらに10年間延長可能です(5年納付も選択可)。
商標は更新を続ける限り半永久的に保護できます。
一方、更新忘れで失効し、他社に先取りされる事例もあります。自社管理が難しい場合は弁理士事務所に管理を委任するのも安心です。
12.まとめ:商標出願はブランドを守る第一歩
商標登録は手続がやや複雑ですが、ブランドを守るうえで不可欠です。
流れを理解して準備すれば、スムーズに進められ、リスクも低減できます。
「この名称を安心して使いたい」「どの区分で出願すべきか分からない」――そんなときは、ぜひご相談ください。
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