意匠制度の概要をかんたんに説明【初心者向け】 なぜ意匠権を取得するのか?
意匠制度とは、物品等の「デザイン」を保護し、その創作を奨励することで産業の発達を促進する制度です。新しく創作された意匠について出願すると、独占排他的な意匠権が与えられ、模倣を防ぎながらブランドイメージの形成にも寄与します。このように、デザイン保護において重要となるのが意匠制度であり、その保護対象や意匠権取得のメリット等をわかりやすく簡単に説明します。
目次
1.そもそも意匠とは?
物品の全体や部分の形状・模様・色彩などで、視覚を通じて美感を起こさせるものをいいます。物品に限らず、建築物や画像も対象となります。これらの対象について出願をすることで、一定の要件下で意匠登録され、意匠権を得ることができます。
■具体例■
・物品 :スマートフォン、家具、自動車など

・建築物:住宅や店舗の外観など

・画像 :操作画面の画像、アプリのアイコンなど

2.意匠権を取得するメリットは?
① 独占的に実施できる
登録された意匠は公報に掲載され、誰でも閲覧できるため、第三者への牽制効果があります。販売サイトや営業上で権利取得を明示しておくことで、牽制効果をより高めることもできます(※例外的に独占的な実施ができない場合があります)。
② 法的措置をとれる
意匠の独占的な実施は、模倣品の実施に対する差止請求権(意匠法第37条第1項)や損害賠償請求権(意匠法第39条、民法第709条)により担保されています。
つまり、第三者が登録意匠に似たデザインを無断で使用するなどの侵害行為があった場合には、法的措置を取ることができます。
③ 販売における利益を得やすい
意匠権により第三者の模倣品を排除することで、自身が創作したデザインを保護し、価格競争に巻き込まれにくく、そのデザインからの利益を確保できます。これにより、会社に利益が還元され、デザイナーの創作意欲も向上し、新たな優れたデザインが生まれるといった社内の好循環が期待できます。
3.意匠登録の主な要件
① 新しいデザインであること
これまでのデザインと同一または類似のデザインについては、登録が認められません(意匠法第3条第1項各号)。
② 容易に創作できるものでないこと
既存デザインの単なる組合せ・置換・比率変更など、容易に創作できるものは登録が認められません(意匠法第3条第2項)。
4.まとめ
| ◎保護対象 | 見た目のデザイン(形状・模様・色彩など) ※保護対象について詳しく知りたい方は「意匠の対象とは」へ |
| ◎登録メリット | 独占実施・法的保護・競争優位・創作意欲向上 |
| ◎主な要件 | 新規性、創作非容易性、美感のある外観など ※意匠の登録要件について詳しく知りたい方は「意匠登録出願とは」へ |
製品やサービスの外観にこだわっている企業・デザイナーにとって、意匠登録はビジネスとクリエイティブの両面で大きな価値があります。
このため、製品等の外観を新たにデザインしたときには、必ず意匠制度による保護を検討しましょう!
柳野国際特許事務所では、それぞれの背景や競合他社の状況等を踏まえたうえで、具体的な保護の方法や、デザインについての戦略的、効率的な出願方法をご提案できますので、まずはお気軽にご相談ください。