特許・実用新案制度の概要をかんたんに説明|【初心者向け】 発明や考案を守るために知っておきたい基礎知識
技術や製品の開発に心血を注いできた企業や個人にとって、その成果をいかに守り、事業の優位性を確立するかは極めて重要です。本編では、新しい技術的アイデアを独占的に使用し、競争優位性を確保するための二つの重要な制度、特許制度と実用新案制度について、その概要、取得のメリット、そして要件を分かりやすく解説します。
目次
1.そもそも特許制度とは?
特許制度とは、新しい方法及び物品の発明に対して一定期間、独占排他的に使用できる権利を与える制度です。
(1)特許権を取得するメリットは?
① 独占的に使用ができる
自分が開発した技術や製品を勝手に他人に使用されてしまうと、利益を奪われたり、競争力を失ったりすることになります。そこで、**特許制度は、新しい発明に対して特許権を与え、発明者に独占排他的な使用権を保証します。**これにより、市場において、自分が開発した技術や製品を独占排他的に使用することができます。
② 法的措置がとれる
特許権は、特許法によって保護され、他者が無断で使用した場合には、差止請求権や損害賠償請求権を行使できます(特許法第100条、第102条)。つまり、特許権を侵害された場合には、法的措置を取ることができます。
③ 市場での優位性を確保できる
特許権を取得することで、競合他社が同じ技術を使用できなくなるため、市場での競争力を高めることができます。また、特許権を持つことは企業の技術力を証明し、取引先や投資家に対する信頼性も向上します。
(2)特許登録されるための要件
① 新規性があること
発明が世界中でまだ知られていない新しいものである必要があります(特許法第29条第1項)。つまり、発明が公開されていないことが重要です。
例:新しい化学物質やその合成方法、革新的な電子デバイスの設計。
② 進歩性があること
その発明が既存の技術から容易に考え出せるものでないことが求められます(特許法第29条第2項)。これは、単なる改良ではなく、技術的な飛躍が必要です。
例:既存の技術を組み合わせただけのものはNG。
2.そもそも実用新案制度とは?
実用新案制度は、新しい物品の考案に対して一定期間、独占排他的に使用できる権利を与える制度です。
(1)実用新案を取得するメリット
① 速く権利化される
実用新案権は、実質的な審査(実体審査)を行わずに、形式的な審査(形式審査)だけで権利化されます。つまり、発明の内容を精査することなく、出願書類の形式的な要件が満たされているかどうかを確認します。このため、形状、構造、組み合わせに関する比較的簡単な技術的考案が対象となります(実用新案法第1条、同法第2条第1項)。
例:手すり付折畳み脚立(手すり+折畳み脚立)。
※なお、方法の発明は、内容を精査する実体審査を受ける必要があるため、実用新案権の対象外です。
② 費用が安い
実用新案権の出願費用や維持費用は特許権に比べて低く抑えられています。
3.まとめ|特許と実用新案を上手に使い分けよう
特許と実用新案は、どちらも技術を保護するための重要な制度ですが、それぞれの性質や目的が異なります。
特許制度:高度な技術的発明をしっかり守りたい場合に最適
実用新案制度:簡易な改良や形状の工夫をすぐに権利化したい場合に有効
技術の内容や事業戦略に応じて、適切な制度を選択することが大切です。これらを適切に利用することで、技術革新を促進し、企業の競争力を高めることができます。
「自分の発明は特許になるのか?」「どちらの制度を利用すべきか?」など、判断に迷う場合は、専門家に相談することをおすすめします。
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