柳野国際特許事務所

事務所について

深く知りたい方へ
海外出願についてより深く知りたい方は以下の情報を参考にして下さい。

1. 各国の特許庁のホームページ

 各国の知的財産権制度の情報源としてはこれが最も重要です。国によりバラツキがありますが、法制度の説明に留まらず、条文の全文、各種データベース、判例情報、手続の留意点等、様々な情報が提供されています。

2. 各国の特許事務所のホームページ
 
事務所毎に特徴がありますので、(暇があれば)ネットサーフィンをしながら役立つホームページを常に検索することをお勧めします。事務所のホームページは実に玉石混交ですが、中には驚くほど素晴らしいものがあります。

3. 特許庁や弁理士会などが主催する各種のセミナー

 資料が充実していて非常に役立ちます。低料金(または無料)のうえ、最新情報を提供して頂けますので非常に助かります。

 以上に対して、海外出願に関する情報を書籍から入手することは余りお勧めできません。なぜなら、日本と同様に海外の知的財産法も改正が頻繁ですが、書籍の性質からそれらの改正内容を常にフォローすることは不可能だからです。勿論、海外出願の基本的な情報(知識)を得るためなら書籍も有用ですが、実際の手続に当たっては必ず最新情報を入手しておかないと、大変なことになります。

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トピックス


米国が先願主義に移行するのはいつ?

1.これまでの経緯
 2007年9月7日に米国下院本会議で「先願主義の採用」を含む特許法改正案が可決された時には、これでいよいよ米国も先願主義を採用するのかと世界中の知財関係者が期待しました。ところがその後「先願主義の採用」というニュースが入ってきません。そこでウェブサイトを調べたところ、残念ながらまだ「審議中」とのことのようです。
 米国の立法過程は基本的には「下院の可決→上院の可決→両可決案の調整→大統領の署名」という流れになります。今回の特許法改正案は2年前の下院の可決後に審議が進まず一度廃案になりました。そして2009年3月3日、若干の修正を加えた法案を下院と上院に同時に提出するという形で審議が再開されていますが、まだ可決には至っていません。

2.改正法の内容
 今回の改正特許法には大きく次の2つの内容が盛り込まれています。

1)先発明主義から先願主義への移行
 今回の改正法は「日本と欧州の特許庁が同様の法制度を採用すること」を条件にしています。つまり、外国(日本と欧州)の特許法改正を条件にしている訳です。
その意味では、仮に米国内で今回の改正法が成立したとしてもその発効にはまだまだ時間がかかりそうな気がします。

2)特許権侵害の賠償額算定に関する基準の改正

 米国の特許権侵害に基づく損害賠償額が非常に高額であることはよく知られています。それには大きく2つの理由があります。故意侵害に対するいわゆる「3倍賠償」のルールと、エンタイアー・マーケット・ルール(製品の一部に対する特許権侵害でも当該製品全体の価格を基準にして賠償額を算定するルール)です。そして今回の改正法ではこの「エンタイアー・マーケット・ルール」の改正も織り込まれています。
 この「エンタイアー・マーケット・ルール」は全ての特許権侵害に適用される訳ではなく、より合理的な算定基準で損害額が算出されることもありますが、それでもこのようなルールがあることは一般企業には脅威です。
 そしてこの「エンタイアー・マーケット・ルール」については、米国内でも賛否両論があり、このルールの改正は、ある意味では先願主義(先公開主義)の採用以上に困難ではないかとの意見もあります。

3.今後の展開
 以上の状況に鑑みた場合、米国特許法が諸外国と同様の先願主義に移行するにはまだまだ時間がかかりそうな気がします。米国議会内では、審議を簡潔にするために「先願主義の採用」と「エンタイアー・マーケット・ルールの改正」を分けた法案を審議すべきとの意見もあります。
 ここで1つだけ留意しておきたいことがあります。それは、米国以外の国で先願主義が採用されているからといって、先発明主義が「悪者」だと決めつけてはいけないということです。先発明主義にも様々なメリットはあり、同時に、先願主義にも様々なデメリットがあります。ただ、特許ハーモナイゼーションの流れの中で、いずれはどちらか一方に統一すべきだとは思いますが。


PCT出願が利用しやすくなります。


 PCT出願制度は益々ユーザーフレンドリーになり、利用し易くなってきています。また、同一発明(考案)が複数国に出願された場合に相互の審査結果を活用する試み(特許審査ハイウェイ)が徐々に広がってきており、日本でもアメリカ・欧州特許庁・中国・韓国・台湾・イギリス・ドイツ等との協力が始まっています。


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