柳野国際特許事務所

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商標 Q&A

海外商標関連

Q1.マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願のメリット・デメリットは?

A.メリットは、
(1)海外への出願は、従来各国ごとに行わなければならなかったが、一の手続きで複数の締約国への出願ができる。
(2)出願をする場合の使用言語は、従来各国ごとの言語を使用しなければならなかったが、一の言語(英語)で足りる
(3)従来、権利取得の成否の判明は、各国ごとに期間がまちまちであったが、全ての指定国について、出願日(又は領域指定の通報日)から1年又は18ヶ月で判明する。
(4)国際登録制度を利用した場合、各国ごとに手続きをする場合と比較して、出願及び商標管理の費用を節減することができる。
ことです。

デメリットは、
(1)国際登録制度を利用する場合、商標登録又は出願を有している必要がある為、本国である締約国に商標の登録も出願もない場合には、この制度を利用することができない。
(2)国際登録後5年間は、国際登録は、基礎となった商標登録又は出願に従属することにも留意が必要である(つまり、基礎となった商標登録又は出願が5年以内に却下又は拒絶された場合は、国際登録も国際登録簿から抹消される(セントラルアタック))。
ことです。

特許庁のページ「マドリッド協定議定書の概要」」を参照してください。


Q2.日本で登録できれば海外でも使用できますか?

A.いいえ。権利は各国独立ですので、日本で登録を受けた場合には、その商標権は日本国内だけで有効です。従って諸外国で商標を使用する場合、それぞれの国で商標を取得することが必要です。尚、中国と香港もそれぞれ別に取得しなければなりません。


Q3.中国では、出願から登録までどの程度の期間がかかりますか?

A.中国へ進出される企業が多いですが、中国での商標登録までの期間は、現在非常に遅くなっており、約3年程度かかります。従って中国進出をされる企業は、早めに商標の手当てをされることをご検討下さい。


Q4.中国における登録商標の使用についての注意事項を教えて下さい。

A.中国での登録商標の使用と認められる範囲は、日本における判断とは異なり、かなり厳しく認定判断されています。
中国商標法では、登録商標の実際の使用については、登録された商標、指定商品又は指定役務を変更して使用してはならないと定められています。
登録商標を変更して使用した場合、
・登録商標の変更または登録商標偽称という違法行為になる可能性があります。
・他人の先権利を侵害する可能性があります。
・登録商標の有効使用と認められずに、三年間の不使用で取消される可能性があります。

登録商標の変更の例としては、以下のような内容が考えられます。

(1)漢字の繁体字と簡体字
 繁体字と簡体字の変更使用は、登録商標の使用と認められない可能性があります。

 (例) 登録商標(繁体字)「夢見」 ≠ 使用商標(簡体字) kantaiji

注)繁体字:中国語において中華人民共和国の一連の「文字改革」政策による簡単字(簡化字)に対して、それ以前から使われている筆画が多い漢字の字体を指す。主に台湾・香港などの地域で使用される。
注)簡体字:1960年代に中華人民共和国で制定された、簡略化した漢字の字体体系。中国大陸で使用されている。

(2)英文の大文字と小文字
 英文の大文字と小文字の変更使用は、登録商標の使用と認められない可能性があります。

 (例) 「NOSKMARD」≠「Noskmard」
     「INVENTION」≠「invention」

(3)字体の変更
 変更して使用された商標が登録商標の文字であるとはっきり分かる場合は、登録商標の有効な使用と認められます。具体的な判断基準は定められていませんが、ロゴ化された文字が登録商標とかなり異なる場合は、登録商標の有効使用と認められない場合があります。

(4)英語と中国語の二段併記
 登録商標と同じ態様で使用する必要があります。いずれか一方のみの使用等は、正式な使用と認められない可能性があります。

(5)色彩の変更
 色彩商標は、色彩を変更したり、モノクロで使用した場合、登録商標の使用と認められない可能性があります。

※参考 : モノクロ商標
 モノクロの登録商標を、色彩をつけて使用した場合、法的に禁止されてはいませんので使用可能であり、 その場合、登録商標の使用とみなされます。しかし、色彩に対しては、保護は与えられません。

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